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2014年8月19日火曜日

読みたい本リスト2

昨年挙げた本を一冊も読んでいないため、昨年のリストに若干継ぎ足すというだけの結果になってしまった。一体いつ読むのだろう。

非常民の民俗文化 赤松啓介著 ちくま学芸文庫
脳に刻まれたモラルの起源 金井良太著 岩波科学ライブラリー
大栗先生の超弦理論入門 大栗博司著 講談社ブルーバックス
言語学の教室 西村義樹著 中公新書
現代オカルトの根源 大田俊寛 ちくま新書
群れは意識を持つ 郡司ペギオ著 PHPサイエンスワールド新書
なめらかな社会とその敵 鈴木健著 勁草書房
世界文明史の試み 山崎正和著 中央公論新社
真珠湾収容所の捕虜たち オーテスケーリ著 ちくま学芸文庫
情報覇権と帝国日本I 有山輝雄著 吉川弘文館
人間はどこまで耐えられるのか F.アッシュクロフト 河出文庫
日本の動物観 石田おさむ著 東京大学出版会
卒業式の歴史学 有本真紀著 講談社選書メチエ
完全なるチェス フランクブレイディー著 文芸春秋
ブレイクブレイド 吉永裕ノ介 ほるぷ出版
「科学者の楽園」をつくった男 宮田親平著 河出文庫
テクニウム ケヴィンケリー著 みすず書房
明治の表象空間 松浦寿輝著 新潮社
神と黄金 ウォルターラッセルミード著 青灯社
月の裏側 クロードレヴィストロース著 中央公論新社
関東大震災 吉村昭著 文春文庫
九月、東京の路上で」 加藤直樹著 ころから出版
サルなりに思い出す事など ロバートサポルスキー著 みすず書房
聖の青春 大崎善生著 講談社文庫

2014年8月18日月曜日

本日の引用:日本経済新聞 熱風の日本史

「国民には植民地支配に対する罪悪感と、報道による『怖い朝鮮人』というイメージ、復讐されるのではないかという恐怖心があった」2014年5月4日(日)付
同紙の、今となってはとっくの昔に終わってしまった近現代史に関する連載から引用。この回のテーマは、関東大震災直後(1923年)の朝鮮人虐殺。

事件の背景として、1918年(大正7年)の米騒動、翌年に起こった朝鮮初の人民蜂起である三一運動、中国の抗日運動である五四運動、1922年の日本共産党結成などの出来事を挙げ、社会に不穏な空気が流れていたことを挙げている。また、日韓併合後に土地を奪われた朝鮮人農民が国内に大量流入したことや、当時の新聞が「不逞鮮人」などの言葉で、朝鮮人に対する「恐怖心と憎しみ」をあおっていたことを指摘している。

戒厳令発令など治安当局の過剰反応が「民衆の恐怖を増幅させるとともに、朝鮮人襲撃の『口実』と『お墨付き』を与えることに」なり、流言の拡大に拍車がかかった。状況は文字通り凄惨を極め、死者数は正確には不明ながら少なくとも2,600人、中国人の犠牲者も700人を超えたという。

現代の我々はこのようなことはしないと信じたいが、実際はどうなのか。昨今の世論調査では隣国に対するイメージはよくないようだし、大事に至るものはなかったと思うが、東日本大震災直後には多少のデマが流布された。

執筆した井上亮編集委員は、教訓として2人の研究者の言葉を引いている。
・他民族に対する敵愾心や反感をあおる情報には注意する。
・過去の正視を自虐として否定するのは、現在の自分や国家に自信が持てない卑屈な態度である。

2014年8月13日水曜日

読書ノート:危険動物との戦い方マニュアル 今泉忠明監修・著 実業之日本社

トラ、ワニ、サメといった危険動物に遭遇した場合、どのように対処すべきかをユーモラスに解説。

ネットで紹介されているのを見て新刊で購入。書店店員に聞くと、どこかの書評で取り上げられ話題になっているそうだ。

大ざっぱに言えば簡易的な動物図鑑なのだが、「戦い方」という観点から見ると新鮮に感じられる。全編振り仮名がふってあり、動物を紹介する絵もポケモンなどカードゲームのカードのような様式になっており、子供向けにもちょうどよい。見せ方の勝利と言えるだろうか。

私が一番好きな対処方はアフリカゾウに対するものだ。走って逃げてもゾウは時速45キロで追いかけてくるし、木に登っても鼻先は6メートルの高さまで届く。ならばどうすればよいか?

黒と白の縞模様の布をかぶってシマウマに擬態すればよいそうだ。ゾウの目からははっきりとは見えないのでニオイさえゾウに届かなければだませるそうだ。当然縞模様の布なんか持ち歩くわけもなく、ばかばかしくて面白い。そのようなツッコミを予想してか、実際考えうる対処法を真面目くさった様子で書き記しているのもまたよい。

「ゾウに会ったとき、すぐにシマウマになるのは難しい。実際には、ツチブタが地中にほった古い巣穴にでも飛びこんで、中からふたをするくらいしか生き残る方法はない」p.64

最近、百獣の王を目指しているという武井壮というタレントが、動物の倒し方を研究しているらしく、本まで出している。「危険動物との戦い方マニュアル」はこの武井氏の発想をヒントにして企画されたのだろうか。
http://matome.naver.jp/odai/2136272829686590101
http://www.wani.co.jp/event.php?id=3674

お笑いタレントの柴田英嗣さんも似たような本を出していた。不思議と時期も12年後半で武井氏の本と近い。
http://www.takeshobo.co.jp/book_d/shohin/5531001

柴田氏は動物に詳しく、動物のウンチクを面白おかしく紹介するパンダPというキャラクターを昔テレビ番組で演じており、これが大変面白かった。いつかまたどこかでやってもらえないもだろうか?
http://owaraitoribia.blog43.fc2.com/blog-entry-592.html
http://matome.naver.jp/odai/2132228238494535101

2014年8月12日火曜日

トレンド日米表現辞典第4版の研究14

p.240 金融自由化
例文中の三菱東京UFJ銀行の英文名は「Mitsubishi Tokyo UFJ Bank」ではなく「Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ」が正しい。

p.247 ◎民間銀行の業界団体
業界団体をまとめた表に「全国銀行協会連合会、全銀協(the Federation of Bankers Associations of Japan)」とあるが、この組織は99年に改組され、名称も「全国銀行協会(the Japanese Bankers Association)」に変わった。全国の地域銀行協会の連合体だったものが、各銀行が個別に参加する組織になったのである。

繰り返しになるが、この辞典の第4版の発行は2007年である。

p.247 BIS自己資本規制
国際決済銀行は「Bank of International Settlements」ではなく「Bank for International Settlements」が正しい。英語圏の某報道機関でも、長年同じ間違いをしていた所があったけど。前の版では正しい名称が書いてある。

p.248 整理回収銀行 Resolution & Collection Corp.
Resolution & Collection Corp.は、整理回収機構。整理回収銀行(Resolution & Collection Bank)は機構の前身で、99年に住宅金融債権管理機構(Housing Loan Administration Corp.)と合併して、現在の機構となった。
http://www.dic.go.jp/english/e_kikotoha/e_kogaisha/index.html
http://www.dic.go.jp/kikotoha/kogaisha/index.html

整理回収銀行は96年の設立。東京協和・安全信組の破綻処理のために95年に設立された東京共同銀行を改組したもの。住宅金融債権管理機構は、住専処理のため96年に設立された。

次ページに住専の説明があり、2006年央時点でも住宅金融債権管理機構が不良債権回収作業に取り組んでいるという記述があるが、当然間違いである。当時この業務は、整理回収機構が行っていた(2012年に終了)。

2014年7月24日木曜日

大学改革のヒント

ツイッターの某クラスタで話題になっていた、読売新聞の「大学の実力2013」という調査を基にした論文が示唆深かったので、備忘のため要点をメモしておく。昨今の研究・論文不正により、大学改革の動きが強まるのかもしれないが、その際に改革の方向性を考えるヒントになると思う。

「大学の偏差値と退学率・就職率に関する予備的分析:社会科学系学部のケース」 清水一著
http://www.osaka-ue.ac.jp/keidaigakkai/journal/64_1/

・社会科学系学部のデータを分析した結果、退学率や就職率は偏差値によってかなりの部分が説明される。p.57
・偏差値最下層の大学はマーケットの洗礼を受けており、そのため何らかの努力が行われ、実質就職率などの実績で上位校を逆転している。p.69
・経営の厳しい偏差値39のグループは、学力・意欲の低い学生を教育し、就職させる方法論を身に着けつつあるのかもしれない。一方、偏差値40-49のグループは比較的経営が安定しており、改革の必要性がなく、結果として、学生の学力・意欲が低いまま放置され、卒業・就職が困難になっているのかもしれない。p.69
・大学間の競争は大学の教育の質を高めることを示唆していると考えられる。p.69
・推薦入試・AO入試の比率が高い学部では退学率が高く、こうした選抜方法で意欲や適性の高い学生を入学させることが困難である可能性を示す。p.65

著者は大阪経済大学の講師で、神戸大学で経営学の博士号を取得した方だそうです。
http://www.osaka-ue.ac.jp/education/faculty/keieijoho/kyouin/

2014年7月20日日曜日

元素変換

いささか旧聞ではあるが、4月に日経新聞電子版から、三菱重工が元素変換の基盤技術の開発に成功したとの記事が配信された。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ040JJ_X00C14A4000000/
以下は三菱重工による論文。
https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/421/421050.pdf

この技術は、核反応のように大きなエネルギーかけずに元素を変換するものだそうだ。メカニズムの詳細は不明ながら「新しい元素の収量がナノグラムからマイクログラムへ3桁増えた」という。放射性物質に応用できれば、非放射性物質に変換できるようになるかもしれない。

元素変換は錬金術のようなもので、永久機関と同様、科学的にありえないものとされてきたが、こういう不思議な現象が科学的探究を深める原動力にもなるので、科学者の皆さまにはぜひ頑張っていただきたい。長年否定されてきた「獲得形質(後天的に得た能力や性質)の遺伝」だって、最近になって遺伝しうるという有力な説が出てきており、目が離せない。
http://www.nature.com/neuro/journal/v17/n1/full/nn.3594.html
http://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(11)01341-9

EM菌で放射線物質除去とか癌を治癒、みたいな非科学的なものは適宜排除すればそれでいいんで。最後の錬金術師たるニュートンが放ったようなブレイクスルーが、現代からも出てくるといいですね。

また、原発関連工学屋の方々には、文春新書の「原発安全革命」で提唱されているような安全度の高いトリウム溶融塩炉原発の開発を急いでもらいたい。

2014年7月3日木曜日

読書ノート:震災以降 渋井 哲也、村上 和巳、渡部 真、太田 伸幸 編著

三一書房。新刊で購入。

被災地での略奪行為やレイプなど、新聞やテレビであまり報道されなかった震災の側面に光を当てた「風化する光と影(マイウェイ出版)」の続編。掲載されている数多くのエピソードに、震災や復興の記録を続けていこうという記者の心意気が感じられる。

震災や原発事故のような巨大で刺激の強い出来事が起こると、どうしても物事の複雑な様相には目が向かず、分かりやすい構図に単純化して理解した気になってしまう。本書の記者達は当事者に話をよく聞き、現地での機微をよく伝えている。

例えば、徹底した防災教育により子供の生存率が高くなったという「釜石の奇跡」について取材すると、ある学校の避難行動は、方針が場当たり的で、たまたま最初に避難した所から逃げたところ、僅差で津波を免れたという。児童や生徒に話を聞いても、釜石で生存率が高かったのは「奇跡じゃなくて偶然」という声が多かったそうだ。

また市の防災課の職員から以下のような証言を引き出している。
「釜石市の小中学校では、震災前から津波防災教育をしてきました。こうした軌跡があったから避難ができたのではないか、と新聞社の取材に答えた事があります。もし私の言葉をもとに『釜石の奇跡』という言葉が生まれたのならば『キセキ』違いです」p.130

現地の震災教育から学ぶ点は多いが、当日の避難行動にミスがなかったか、準備に不備がなかったかなど冷静な評価が必要だと指摘している。

本書の巻末には、現地のグルメ情報が載せてある。被災地を何度も訪ね歩いた苦労と、少しでも現地を盛り上げる役に立ちたいという願いが感じられ、頭が下がる思いだ。私も行く機会があれば、試してみよう。