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2014年10月1日水曜日

読書ノート:首都水没 土屋信行著

文春新書。新刊で購入。東京の水害の歴史的経緯を解説し、対策不足を警告。

9月10日の局地的大雨は都内各地で浸水を引き起こした。肝を冷やした方も多かっただろうし、実際に被害に遭った方もいるだろう。もう1時間雨が続いたら、被害は飛躍的に増えたのではないだろうか。

本書では、2010年4月に発表された政府の中央防災会議による「大規模水害対策に関する専門調査会報告」などを基に、実際水害が起きた場合にどのような事態が発生しうるのか、分かりやすく説明している。
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/senmon/daikibosuigai/pdf/100402_shiryo_2.pdf

詳細は本書や報告を参照していただくとして、ここでは利根川と荒川の堤防が決壊した場合の何種類かのシナリオを全て重ね合わせた浸水被害想定の地図を掲載しておく(「報告」のp.39)。実際には起こらないだろうが、最悪を想定するにはちょうどよい。

分かりづらいが、荒川最下流にある赤い浸水域は足立区で、その少し上流左手の赤い区域は板橋区である。



本書で印象に残った点は以下の通り。
・都内の雨水処理能力は1時間降雨強度50mmが限界。そのような大雨の際にはなるべく水を使わない(つまり排水しない)という配慮が必要。p.103
・台風に伴う高潮はじわじわ水位が上がるのではなく、破壊力を持った津波のような挙動をする。p.181-182
・1917年秋に東京・千葉の沿岸部を襲った高潮で、現在の江戸川区の新川周辺の梨畑が全滅。
農家の多くが高台を求めて市川や船橋などに移住した。p.181
  →今をときめく某ゆるキャラの背後にそんな歴史があったとは…

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