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2014年12月17日水曜日

ジーニアス英和辞典 第5版 続報

もう出たようです。以下はプレスリリースからの引用。

「『ジーニアス英和辞典 第5版』刊行  売上No.1※の英和辞典・ジーニアスが8年ぶりに大改訂! 収録語句約10万5,000は、学習英和辞典として最大規模。 textwalking(歩きスマホ)やselfie(セルフィー、自分撮り写真) などの新語を含めて約5,000語句を追加。 」
http://www.atpress.ne.jp/view/55064

大修館のホームページにも掲載されています。
http://www.taishukan.co.jp/item/g5/index.html

2014年12月6日土曜日

ジーニアス英和辞典 第5版

12月18日(木)に発売になるようだ。買わなくては。第4版がボロボロになり捨ててしまったので、買い替えようか迷っていたところでちょうどよかった。

最近、メディアの発達により言葉の変化が速く、一方で地域間での均質化も進んでいるように感じている。新語や新用法の収録について、そのような観点から確認してみたい。

比較のために、第4版を捨てずにとっておけばよかった…

2014年12月2日火曜日

読書ノート:Masterキートン Reマスター 浦沢直樹、長崎尚志

小学館。家族に用事を頼まれて本屋に行ったところ、たまたま見つけ、新刊を購入。

Masterキートンは、元英国軍特殊空挺部隊(SAS)教官で、考古学の講師をしながら保険調査員として働く平賀=キートン・太一の活躍を描いた漫画の名作である。

全く知らなかったのだが、ここ数年、続編が不定期的にビッグコミックオリジナルに掲載されていたようで、今回のReマスターは、それを単行本化したものだ。

正編と同様、社会情勢や考古学のウンチクを織り交ぜながら、出来事と人間ドラマを描く一方、それらの展開と微妙に呼応させつつキートン自身の親子関係の移ろいを描写していく、その構成が非常に上手い。また、キートンが子供の頃のエピソードが明かされ、本編で強調されている「あきらめない」という信念を、彼がいかにして自分のものにしたのかその一端が明らかになる。

以下、本書のキートンの言葉で印象に残ったものを引用する。
「キリスト教の神は、人の行動に正義を求める。常に理由と答えを求める。でもギリシアの神々は逆です。人をわざと理由や答えのない行動へと駆り立てる」p.106-107

2014年11月11日火曜日

読書ノート:ボブ・ディラン解体新書 中山康樹著

廣済堂新書。新刊で購入。ボブ・ディランの作詞作曲の才能が枯渇したとの前提で、辛口だが愛情のこもった評論を展開。

「ボブ・ディランは、たいした論拠はなかったかもしれないが、ストーリーテラーの本能と高貴で知的なペテン師もどきの想像力を駆使して、期せずして延命したロックにおける理想的な体現者であることを、(年齢的な理由から)ほぼ最終的な自己目標に設定した」p.18

著者は、若者の音楽たるロックが今や「歴史」となるまでに延命し、この過程で、ミュージシャンが自身に関する「伝説」に加担したり、更新したり、自らの手で決着をつけたりする現象が見られることを指摘している。一例として、60年代に流布された自らの死亡説に意図的に言及した、ポール・マッカートニーの93年のアルバム「Paul Is Live」を挙げている。

ディランによる伝説の更新作業は「古い曲を破壊し、まったく別の曲として再生させる」形をとった。かなり昔からそうだが、コンサートを聞きに行くと一体何の曲をやっているのか歌詞を聞かないと分からないことが多く、そうやって作り直された曲は逆にどれも同じように聞こえたものだ。(最近は来日しても聞きに行ってないが、同じ単音をひたすら弾き続ける、よく意味の分からないギター・プレイは今も健在なのだろうか?)

著者の見立てでは、ディランは90年代初頭にソングライターとしての才能の枯渇に直面した(私もこの見方に賛成する)。92年、93年のアルバムで古い民謡や伝承曲を今の観点から蘇生させる「遺産の継承」の時期を経て、2001年に「Love and Theft」が発表された。このアルバムで、佐賀純一著「浅草博徒一代」の英語版「Confessions of a Yakuza」からの盗用疑惑が問題となる。

「彼は、日本のやくざ小説から歌詞を盗んだ。裁判沙汰になってもおかしくなかったけれど、彼にとって幸運なことにそうはならなかった。彼は私に言った。『もう何年も曲を書いていないんだ』と。じゃあ誰が書いているのかしら?」p.101 (英Uncut誌に掲載されたカナダ人シンガソングライター、ジョニ・ミッチェルへのインタビューの邦訳*)

盗用疑惑はディランの芸術家としての根幹に関わるものだったが、引用されるのは「光栄」と佐賀氏が不問にしたことや、継承と盗用に一線を引くのに難しい面があることを理由に、特に日本では容認する風潮が強まった。ところが次作「Modern Times」では、歌詞だけでなく、ほぼ全ての収録曲に、作者名がクレジットされていない何らかの原曲が存在することが判明するという事態に至っている。

著者はデービッド・ドールトン著の「ボブ・ディランという男」という本から次のように引用している。
「『タイム・アウト・オブ・マインド(97年)』から、彼はパッチワークの方法で歌をつくりはじめた。トラディショナルの歌詞からいくつかのフレーズを選び出し、それを独自の特異なイメージの言葉と、ハリー・スミスの『アンソロジー』収録曲や古い歌の言葉などと混ぜ合わせて1曲に仕上げる方法だ」p.100

とは言え「Time Out of Mind」以降、出来が悪くないアルバムはそれなりにあったと思う。著者も「Love and Theft」を聞くと「陶然とする」という。クレジットを適正化さえすれば解決する問題も多いだろうに、なんとかならないものだろうか。また盗用疑惑が、日本ではほぼなかったことになっている事態も残念である。

ちなみに次に出るアルバムは「The Basement Tapes Complete: The Bootleg Series Vol. 11」である。新曲ではない。日本では来週に発売される。
http://www.bobdylan.com/us/news/bob-dylans-basement-tapes-complete-bootleg-series-vol-11-set-november-4-release

Bootleg Series は何らかの理由で没になった曲や、アルバムに掲載されたのとは別バージョンの曲などを集めたシリーズ。Basement Tapes は60年代末に、カナダのザ・バンドと私的*なセッションを重ねていた時の音源で、ロックの海賊版アルバムの走りと言われる「Great White Wonder」の収録曲の大半がこのセッションからの曲だった。
*11月26日追記:当時ディランとザ・バンドは雇用関係にあり、「私的」との記述は誤りでした。

このコンプリート版の発表により、ディランの未公表音源のうち、個人的に聞いておきたいと思っていたものは、一部のライブを除き、ほぼ無くなる。Bootleg Series もそろそろ潮時ではないかと思う。

以下、ディランのアルバムの中から、私のお勧めを挙げておく。
1「Blood on the Tracks」
 コンセプトのしっかりした、落ち着いた名曲が多いアルバム。テーマは男女関係の破綻。
2「Blonde on Blonde」
 ディラン本人が「wild mercury」で「metallic and bright gold」な音と評した、華麗なアルバム。
3「The Bootleg Series Volumes 1-3」
 既存のアルバムに入っている正規の曲と聞き比べると、ディランの音楽の幅の広さと深さが分かり、くせになる。上記アルバムのアウトテイクも入っている。

*ジョニ・ミッチェルのインタビューは、一部がネットで閲覧できる。
http://www.uncut.co.uk/joni-mitchell/joni-mitchell-i-like-a-lot-of-bob-dylan-s-songs-but-he-s-not-very-musically-gifted-new
元々はカナダのCBC放送でのインタビューだったようだ。ボブ・ディランの話は下のビデオの2分過ぎぐらいから。
http://www.cbc.ca/player/Shows/Shows/Q+with+Jian+Ghomeshi/Joni+Mitchell/ID/2390837284/
ビデオで言及のあった LA Times のインタビュー記事は以下の通り。
http://articles.latimes.com/2010/apr/22/entertainment/la-et-jonimitchell-20100422/2

2014年11月5日水曜日

米カンザス州の減税実験

法人減税は景気拡大を促し、結果的に税収を増加させるという「法人税のパラドックス」という考え方があるそうだ。減税は、国内投資を活発化させ、製造業の海外移転を抑制し、海外から投資を呼び込むことに寄与するという理屈である。

いささか旧聞ではあるが、米国のカンザス州が、2012年に異例の大減税を行った。個人所得税率は、高所得者で6.45%→4.9%、中所得者で6.25%→4.9%、低所得者で3.5%→3.0%に低下し、零細企業の法人税率はゼロになった。

翌13年には、予定されている売上税減税幅の大幅縮小など歳入増を狙った策と同時に、数年かけて個人所得税を更に低下させ、一定の条件を満たせばゼロとする計画が決定された。
http://www.cbpp.org/files/3-27-14sfp.pdf

しかし今のところ結果は芳しくない。歳入が減る一方、経済が低迷しているという。
今年6月末までの直近の会計年度で見ると、歳入は想定より3億3千万ドル、前年より7億ドル減少したそうだ。州の年間の予算規模は60億ドル前後なので、影響は大きい。雇用も個人所得も、全米の平均ほどの伸びを見せていないとのこと。
http://www.nytimes.com/2014/10/23/upshot/kansas-faces-additional-revenue-shortfalls-after-tax-cuts.html
http://www.nytimes.com/2014/06/30/opinion/paul-krugman-charlatans-cranks-and-kansas.html
http://www.forbes.com/sites/beltway/2014/07/15/whats-the-matter-with-kansas-and-its-tax-cuts-it-cant-do-math/

日本でも投資促進のため法人減税が検討されている。一部の論者は「グローバルな減税競争に乗り遅れるな」と檄を飛ばしているが、法人減税の経済全般に対するメリットが一体どのような条件なら表れてくるのか、しっかりした検討を行ってほしいものである。

政府税調の法人課税ディスカッショングループの今年3月の会合での資料に、法人税のパラドックスの包括的な解説があったので、後で読んでおこうと思う。一橋大学政策大学院の佐藤主水氏作成のものである([法D1-3]と書いてあるもの)。
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/discussion3/2013/__icsFiles/afieldfile/2014/03/12/25dis31kai7.pdf
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/discussion3/2013/25dis31kai.html

2014年10月18日土曜日

小型核融合炉

ロッキードが、トラックに載るぐらい小型な核融合炉の開発にメドをつけたそうだ。5年で試作品作成、10年で実用化という計画。
http://lockheedmartin.com/us/products/compact-fusion.html
http://www.lockheedmartin.com/us/news/press-releases/2014/october/141015ae_lockheed-martin-pursuing-compact-nuclear-fusion.html

ネットで見る限り日本の新聞はあまり取り上げていないようだが、海外ではそこそこ大きなニュースになっている。
http://www.washingtonpost.com/news/capital-business/wp/2014/10/15/nuclear-fusion-energy-in-a-decade-lockheed-martin-is-betting-on-it/

懐疑論もあるようだ。小さい装置で本当に核融合反応を起こせるのか、炉の耐久性は大丈夫かなど。
http://www.washingtonpost.com/news/capital-business/wp/2014/10/16/can-lockheed-martins-nuclear-fusion-reactor-work-some-scientists-doubt-it/

イギリスやアメリカでは10代の子供が核融合炉を作ったりしているらしい…
https://www.google.co.jp/?gws_rd=ssl#q=american+kid+nuclear+fusion+reactor

天下のロッキードが言うのだから、本当にメドが立っているのだと信じたいが、少し調べた方がよいかもしれない。時間があったらやってみます。

2014年10月1日水曜日

読書ノート:首都水没 土屋信行著

文春新書。新刊で購入。東京の水害の歴史的経緯を解説し、対策不足を警告。

9月10日の局地的大雨は都内各地で浸水を引き起こした。肝を冷やした方も多かっただろうし、実際に被害に遭った方もいるだろう。もう1時間雨が続いたら、被害は飛躍的に増えたのではないだろうか。

本書では、2010年4月に発表された政府の中央防災会議による「大規模水害対策に関する専門調査会報告」などを基に、実際水害が起きた場合にどのような事態が発生しうるのか、分かりやすく説明している。
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/senmon/daikibosuigai/pdf/100402_shiryo_2.pdf

詳細は本書や報告を参照していただくとして、ここでは利根川と荒川の堤防が決壊した場合の何種類かのシナリオを全て重ね合わせた浸水被害想定の地図を掲載しておく(「報告」のp.39)。実際には起こらないだろうが、最悪を想定するにはちょうどよい。

分かりづらいが、荒川最下流にある赤い浸水域は足立区で、その少し上流左手の赤い区域は板橋区である。



本書で印象に残った点は以下の通り。
・都内の雨水処理能力は1時間降雨強度50mmが限界。そのような大雨の際にはなるべく水を使わない(つまり排水しない)という配慮が必要。p.103
・台風に伴う高潮はじわじわ水位が上がるのではなく、破壊力を持った津波のような挙動をする。p.181-182
・1917年秋に東京・千葉の沿岸部を襲った高潮で、現在の江戸川区の新川周辺の梨畑が全滅。
農家の多くが高台を求めて市川や船橋などに移住した。p.181
  →今をときめく某ゆるキャラの背後にそんな歴史があったとは…

2014年8月19日火曜日

読みたい本リスト2

昨年挙げた本を一冊も読んでいないため、昨年のリストに若干継ぎ足すというだけの結果になってしまった。一体いつ読むのだろう。

非常民の民俗文化 赤松啓介著 ちくま学芸文庫
脳に刻まれたモラルの起源 金井良太著 岩波科学ライブラリー
大栗先生の超弦理論入門 大栗博司著 講談社ブルーバックス
言語学の教室 西村義樹著 中公新書
現代オカルトの根源 大田俊寛 ちくま新書
群れは意識を持つ 郡司ペギオ著 PHPサイエンスワールド新書
なめらかな社会とその敵 鈴木健著 勁草書房
世界文明史の試み 山崎正和著 中央公論新社
真珠湾収容所の捕虜たち オーテスケーリ著 ちくま学芸文庫
情報覇権と帝国日本I 有山輝雄著 吉川弘文館
人間はどこまで耐えられるのか F.アッシュクロフト 河出文庫
日本の動物観 石田おさむ著 東京大学出版会
卒業式の歴史学 有本真紀著 講談社選書メチエ
完全なるチェス フランクブレイディー著 文芸春秋
ブレイクブレイド 吉永裕ノ介 ほるぷ出版
「科学者の楽園」をつくった男 宮田親平著 河出文庫
テクニウム ケヴィンケリー著 みすず書房
明治の表象空間 松浦寿輝著 新潮社
神と黄金 ウォルターラッセルミード著 青灯社
月の裏側 クロードレヴィストロース著 中央公論新社
関東大震災 吉村昭著 文春文庫
九月、東京の路上で」 加藤直樹著 ころから出版
サルなりに思い出す事など ロバートサポルスキー著 みすず書房
聖の青春 大崎善生著 講談社文庫

2014年8月18日月曜日

本日の引用:日本経済新聞 熱風の日本史

「国民には植民地支配に対する罪悪感と、報道による『怖い朝鮮人』というイメージ、復讐されるのではないかという恐怖心があった」2014年5月4日(日)付
同紙の、今となってはとっくの昔に終わってしまった近現代史に関する連載から引用。この回のテーマは、関東大震災直後(1923年)の朝鮮人虐殺。

事件の背景として、1918年(大正7年)の米騒動、翌年に起こった朝鮮初の人民蜂起である三一運動、中国の抗日運動である五四運動、1922年の日本共産党結成などの出来事を挙げ、社会に不穏な空気が流れていたことを挙げている。また、日韓併合後に土地を奪われた朝鮮人農民が国内に大量流入したことや、当時の新聞が「不逞鮮人」などの言葉で、朝鮮人に対する「恐怖心と憎しみ」をあおっていたことを指摘している。

戒厳令発令など治安当局の過剰反応が「民衆の恐怖を増幅させるとともに、朝鮮人襲撃の『口実』と『お墨付き』を与えることに」なり、流言の拡大に拍車がかかった。状況は文字通り凄惨を極め、死者数は正確には不明ながら少なくとも2,600人、中国人の犠牲者も700人を超えたという。

現代の我々はこのようなことはしないと信じたいが、実際はどうなのか。昨今の世論調査では隣国に対するイメージはよくないようだし、大事に至るものはなかったと思うが、東日本大震災直後には多少のデマが流布された。

執筆した井上亮編集委員は、教訓として2人の研究者の言葉を引いている。
・他民族に対する敵愾心や反感をあおる情報には注意する。
・過去の正視を自虐として否定するのは、現在の自分や国家に自信が持てない卑屈な態度である。

2014年8月13日水曜日

読書ノート:危険動物との戦い方マニュアル 今泉忠明監修・著 実業之日本社

トラ、ワニ、サメといった危険動物に遭遇した場合、どのように対処すべきかをユーモラスに解説。

ネットで紹介されているのを見て新刊で購入。書店店員に聞くと、どこかの書評で取り上げられ話題になっているそうだ。

大ざっぱに言えば簡易的な動物図鑑なのだが、「戦い方」という観点から見ると新鮮に感じられる。全編振り仮名がふってあり、動物を紹介する絵もポケモンなどカードゲームのカードのような様式になっており、子供向けにもちょうどよい。見せ方の勝利と言えるだろうか。

私が一番好きな対処方はアフリカゾウに対するものだ。走って逃げてもゾウは時速45キロで追いかけてくるし、木に登っても鼻先は6メートルの高さまで届く。ならばどうすればよいか?

黒と白の縞模様の布をかぶってシマウマに擬態すればよいそうだ。ゾウの目からははっきりとは見えないのでニオイさえゾウに届かなければだませるそうだ。当然縞模様の布なんか持ち歩くわけもなく、ばかばかしくて面白い。そのようなツッコミを予想してか、実際考えうる対処法を真面目くさった様子で書き記しているのもまたよい。

「ゾウに会ったとき、すぐにシマウマになるのは難しい。実際には、ツチブタが地中にほった古い巣穴にでも飛びこんで、中からふたをするくらいしか生き残る方法はない」p.64

最近、百獣の王を目指しているという武井壮というタレントが、動物の倒し方を研究しているらしく、本まで出している。「危険動物との戦い方マニュアル」はこの武井氏の発想をヒントにして企画されたのだろうか。
http://matome.naver.jp/odai/2136272829686590101
http://www.wani.co.jp/event.php?id=3674

お笑いタレントの柴田英嗣さんも似たような本を出していた。不思議と時期も12年後半で武井氏の本と近い。
http://www.takeshobo.co.jp/book_d/shohin/5531001

柴田氏は動物に詳しく、動物のウンチクを面白おかしく紹介するパンダPというキャラクターを昔テレビ番組で演じており、これが大変面白かった。いつかまたどこかでやってもらえないもだろうか?
http://owaraitoribia.blog43.fc2.com/blog-entry-592.html
http://matome.naver.jp/odai/2132228238494535101

2014年8月12日火曜日

トレンド日米表現辞典第4版の研究14

p.240 金融自由化
例文中の三菱東京UFJ銀行の英文名は「Mitsubishi Tokyo UFJ Bank」ではなく「Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ」が正しい。

p.247 ◎民間銀行の業界団体
業界団体をまとめた表に「全国銀行協会連合会、全銀協(the Federation of Bankers Associations of Japan)」とあるが、この組織は99年に改組され、名称も「全国銀行協会(the Japanese Bankers Association)」に変わった。全国の地域銀行協会の連合体だったものが、各銀行が個別に参加する組織になったのである。

繰り返しになるが、この辞典の第4版の発行は2007年である。

p.247 BIS自己資本規制
国際決済銀行は「Bank of International Settlements」ではなく「Bank for International Settlements」が正しい。英語圏の某報道機関でも、長年同じ間違いをしていた所があったけど。前の版では正しい名称が書いてある。

p.248 整理回収銀行 Resolution & Collection Corp.
Resolution & Collection Corp.は、整理回収機構。整理回収銀行(Resolution & Collection Bank)は機構の前身で、99年に住宅金融債権管理機構(Housing Loan Administration Corp.)と合併して、現在の機構となった。
http://www.dic.go.jp/english/e_kikotoha/e_kogaisha/index.html
http://www.dic.go.jp/kikotoha/kogaisha/index.html

整理回収銀行は96年の設立。東京協和・安全信組の破綻処理のために95年に設立された東京共同銀行を改組したもの。住宅金融債権管理機構は、住専処理のため96年に設立された。

次ページに住専の説明があり、2006年央時点でも住宅金融債権管理機構が不良債権回収作業に取り組んでいるという記述があるが、当然間違いである。当時この業務は、整理回収機構が行っていた(2012年に終了)。

2014年7月24日木曜日

大学改革のヒント

ツイッターの某クラスタで話題になっていた、読売新聞の「大学の実力2013」という調査を基にした論文が示唆深かったので、備忘のため要点をメモしておく。昨今の研究・論文不正により、大学改革の動きが強まるのかもしれないが、その際に改革の方向性を考えるヒントになると思う。

「大学の偏差値と退学率・就職率に関する予備的分析:社会科学系学部のケース」 清水一著
http://www.osaka-ue.ac.jp/keidaigakkai/journal/64_1/

・社会科学系学部のデータを分析した結果、退学率や就職率は偏差値によってかなりの部分が説明される。p.57
・偏差値最下層の大学はマーケットの洗礼を受けており、そのため何らかの努力が行われ、実質就職率などの実績で上位校を逆転している。p.69
・経営の厳しい偏差値39のグループは、学力・意欲の低い学生を教育し、就職させる方法論を身に着けつつあるのかもしれない。一方、偏差値40-49のグループは比較的経営が安定しており、改革の必要性がなく、結果として、学生の学力・意欲が低いまま放置され、卒業・就職が困難になっているのかもしれない。p.69
・大学間の競争は大学の教育の質を高めることを示唆していると考えられる。p.69
・推薦入試・AO入試の比率が高い学部では退学率が高く、こうした選抜方法で意欲や適性の高い学生を入学させることが困難である可能性を示す。p.65

著者は大阪経済大学の講師で、神戸大学で経営学の博士号を取得した方だそうです。
http://www.osaka-ue.ac.jp/education/faculty/keieijoho/kyouin/

2014年7月20日日曜日

元素変換

いささか旧聞ではあるが、4月に日経新聞電子版から、三菱重工が元素変換の基盤技術の開発に成功したとの記事が配信された。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ040JJ_X00C14A4000000/
以下は三菱重工による論文。
https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/421/421050.pdf

この技術は、核反応のように大きなエネルギーかけずに元素を変換するものだそうだ。メカニズムの詳細は不明ながら「新しい元素の収量がナノグラムからマイクログラムへ3桁増えた」という。放射性物質に応用できれば、非放射性物質に変換できるようになるかもしれない。

元素変換は錬金術のようなもので、永久機関と同様、科学的にありえないものとされてきたが、こういう不思議な現象が科学的探究を深める原動力にもなるので、科学者の皆さまにはぜひ頑張っていただきたい。長年否定されてきた「獲得形質(後天的に得た能力や性質)の遺伝」だって、最近になって遺伝しうるという有力な説が出てきており、目が離せない。
http://www.nature.com/neuro/journal/v17/n1/full/nn.3594.html
http://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(11)01341-9

EM菌で放射線物質除去とか癌を治癒、みたいな非科学的なものは適宜排除すればそれでいいんで。最後の錬金術師たるニュートンが放ったようなブレイクスルーが、現代からも出てくるといいですね。

また、原発関連工学屋の方々には、文春新書の「原発安全革命」で提唱されているような安全度の高いトリウム溶融塩炉原発の開発を急いでもらいたい。

2014年7月3日木曜日

読書ノート:震災以降 渋井 哲也、村上 和巳、渡部 真、太田 伸幸 編著

三一書房。新刊で購入。

被災地での略奪行為やレイプなど、新聞やテレビであまり報道されなかった震災の側面に光を当てた「風化する光と影(マイウェイ出版)」の続編。掲載されている数多くのエピソードに、震災や復興の記録を続けていこうという記者の心意気が感じられる。

震災や原発事故のような巨大で刺激の強い出来事が起こると、どうしても物事の複雑な様相には目が向かず、分かりやすい構図に単純化して理解した気になってしまう。本書の記者達は当事者に話をよく聞き、現地での機微をよく伝えている。

例えば、徹底した防災教育により子供の生存率が高くなったという「釜石の奇跡」について取材すると、ある学校の避難行動は、方針が場当たり的で、たまたま最初に避難した所から逃げたところ、僅差で津波を免れたという。児童や生徒に話を聞いても、釜石で生存率が高かったのは「奇跡じゃなくて偶然」という声が多かったそうだ。

また市の防災課の職員から以下のような証言を引き出している。
「釜石市の小中学校では、震災前から津波防災教育をしてきました。こうした軌跡があったから避難ができたのではないか、と新聞社の取材に答えた事があります。もし私の言葉をもとに『釜石の奇跡』という言葉が生まれたのならば『キセキ』違いです」p.130

現地の震災教育から学ぶ点は多いが、当日の避難行動にミスがなかったか、準備に不備がなかったかなど冷静な評価が必要だと指摘している。

本書の巻末には、現地のグルメ情報が載せてある。被災地を何度も訪ね歩いた苦労と、少しでも現地を盛り上げる役に立ちたいという願いが感じられ、頭が下がる思いだ。私も行く機会があれば、試してみよう。

2014年5月17日土曜日

本日の引用:日本経済新聞 2014年5月16日

「決まり事や制約を課せられても、表出してくるのが本当の才能。ルーニー(イングランド)を見て下さい。あの能力の持ち主がすごくタスクもこなす。縛られて消える才能なら、それまでの才能」(朝刊30面「逸材 いざブラジルへ」)

ワールドカップ日本代表に選ばれた柿谷曜一朗選手をどのように活用すべきかについて、彼の期限付き移籍を受け入れた徳島ヴォルティスの元監督、美濃部直彦氏がコメントした際の言葉。

私は一介のサラリーマンだが、職場はやらなければいけないことの連鎖で、自分のやりたいことを実現できる機会などごく限られている。そのような「制約」があっても自分の価値観に根ざした何かを「表出」できるよう心がけたい。そのように思わせる、よい言葉だと思う。

柿谷選手のように才能を目立った形で表出させることは、多くの人間にとっては難しいかもしれない。しかし目立たないものであっても「制約」に負けず表れてくる才能は、多かれ少なかれ誰にでもあるのではないだろうか。日々の雑事にかまけて見失いがちだが、しっかりと目をこらし、周りに表出してくる才能にも気づけるよう心がけようと思う。

ちなみに日経は、意外と経済以外の分野で読み応えのある記事が多い。昨今話題になっている理研での研究不正についても、電子版の連載で深い洞察があった。
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO70875170Y4A500C1000004/

タイムラグがあってもよいので、このようなよい記事はぜひ紙媒体にも載せて欲しいと、長年の紙読者は思うのであった。

2014年4月16日水曜日

トレンド日米表現辞典第4版の研究13

p.179 消費支出 consumer spending [consumption]
ちなみに総務省は consumption expenditures としている。
消費支出とは「いわゆる生活費のことであり、日常の生活を営むに当たり必要な商品やサービスを購入して実際に支払った金額」で、それに対して「税金や社会保険料など原則として世帯の自由にならない支出」を非消費支出という。
http://www.stat.go.jp/data/kakei/kaisetsu.htm#p1

旧版と例文を比較してみる。
<第3版>
「1996年の月平均実質消費支出は32万8,848円で、前年比0.1%減と4年続けてマイナスとなった。
  The average consumer spending of Japanese households fell inflation-adjusted 0.1% year on year to ¥328,848 in 1996 for the fourth consecutive year of decline.」
<第4版>
「総務省によると、2005年12月の実質消費支出(全世帯)は34万6,230円で、実質で前年同月比0.8%増となり、05年10月以来2か月ぶりのプラスとなった。
  According to the Ministry of Internal Affairs and Communications, the average monthly consumer spending of all Japanese households rose inflated-adjusted 0.8% year-on-year to ¥346,230 in December 2005, marking the first growth in two months since October of the same year.」

第4版の日本語の文は冗長。「実質消費支出」と「実質で前年同月比」で2回「実質」という語が使われているので、どちらかを削除する必要がある。また「2か月ぶりのプラス」の前の「~以来」は示すまでもないので不要。例えば「41か月ぶり」みたいに結構昔のことなら「~月以来」と書いてもそれなりに意味があるけど。

英語の方に移る。第4版では、前の版で抜けていた「monthly」を「average」の後に挿入したのはよい。しかし「全世帯」を「all Japanese households」とすると文字通り日本にある全ての世帯という意味になってしまう。この統計(家計調査という)の示す「全世帯」は勤労者世帯とそれ以外の世帯を合わせたもの。
http://www.stat.go.jp/data/kakei/kaisetsu.htm#p5

また「実質」を「inflated-adjusted」としているが、前の版で正しく「inflation-adjusted」と書いてあったものをわざわざ間違えて書き直している(ちなみに数字の直前に置かれるinflation-adjustedの前には不定冠詞を入れる必要がある)。「year on year」も副詞句として使う場合はハイフンは要らないのに、わざわざ間違えて書き直している。

*4月18日追記:例文の主語「spending」の後の前置詞は at か by が適切。また2005年は全体的に物価が下がっていたので「inflation-adjusted(インフレ調整後)」とするより「price-adjusted(物価調整後)」とする方がよい。「実質」という意味の「real」を用いてもいい。

トレンド日米表現辞典第4版の研究12

p.244 公的資金の返済 repayment of capital injection
前回見落としていたが、見出しの英訳は「repayment of public funds」などとすべき。「repayment for capital injection(資本注入のお礼)」ならまだ理解可能。もちろん変だけど。
また例文では「inject public funds to ~」という構造の文を示しているが、前置詞はintoが正しい。

p.245 長期信用銀行 long-term credit bank
「日本興業銀行は2002年、みずほ銀行に統合された」とあるが、正しくはみずほコーポレート銀行。法手続き的には興銀が富士銀行に吸収された形になるが、本店も基幹システムも興銀のものを引き継いだので、興銀を母体にみずほコーポレート銀行が設立されたという方が実情に近い。昨年7月にみずほ銀行と合併し名前から「コーポレート」が外れたが、本店となったのは旧興銀本店だった。来月、旧富士銀本店跡地を再開発したビルに本店を移転する予定。

p.245 信託銀行 trust bank; trust and banking company
「2006年6月現在では、中央三井信託銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行の3行しかない」とあるが、住友信託を忘れている。日本長期信用銀行が潰れそうな1998年、実質救済目的の経営統合を発表したり(後に破談)、2004年にUFJ信託との合併の合意が破棄され、三菱東京フィナンシャルグループと法廷闘争になったりと、話題に事欠かなかった。この項目の著者はニュースを見ていなかったのだろうか。以下の本でも読んで当時の雰囲気を思い出したらよい。
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=14991

また、当時の正確な数は知らないが、外資系を含めると信託銀行はもっとたくさんあったはずだ。さらに信託併営だった大和銀行の流れを汲むりそな銀行も、信託銀行の免許を持っている。

2014年4月11日金曜日

トレンド日米表現辞典第4版の研究11

p.242 ビッグバン、金融大改革
囲み記事の中で、宇宙のビッグバンのことを「水素原子の大爆発」と説明しているが、違うのではないだろうか。普通は「超高温・超高密度の火の玉の爆発的膨張」などと記述され、原子が発生しうる以前の状態を言うと思うのだが…。以下は国立科学博物館による説明のリンク。
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/resource/tenmon/space/theory/theory02.html
*7月24日追記:この囲み記事は第4版で大幅に書き換えられていますが、「水素原子の大爆発」のくだりは前の版から引き継いだもので、第4版固有の問題ではありませんでした。

p.243 日本銀行[日銀]政策委員会
審議委員のことを「councilor」としているが、正しくは「member of the Policy Board」。「councilor」だと間違っているだけでなく、「参与(counsellor)」と紛らわしいので要注意。参与は財界の重鎮など外部の人間が務め、政策委員会の諮問に応じたり、独自に意見を述べたりする。以下のリンクは主要な役職の日英対訳。
http://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/outline/a09.htm/

p.244 公的資金の返済
りそなホールディングスを「Risona Holdings Co.」としているが、正しくは「Resona Holdings Inc.」。
「りそな」はラテン語で「resona=共鳴する、響きわたる」という意味で、顧客と共に響き合い、絆を深めたいとの思いで決めた名前だそうだ。
http://www.resona-gr.co.jp/holdings/news/hd/pdf/140412_1a.pdf

2014年2月28日金曜日

読書ノート:竹取物語 岩波文庫

家族が新刊で買った物を拝借。言わずと知れた「物語の出で来はじめの祖」(By 紫式部)。9世紀末頃に成立したとされる。

スタジオジブリがかぐや姫のアニメ映画を公開したことに刺激を受け、初めて全編通して読んでみた。映画ではかぐや姫が犯したという罪は何か、ということに焦点を当てているそうだが、竹取物語の中では、月の王らしき人の言葉としてやや唐突に「かぐや姫は罪つくり給へりければ(p.53)」一時的に地上に降ろされたとあるのみで、罪の詳細が書いてあるわけではない。

京都書房の「新修国語総覧三訂版」によると、竹取物語はさまざまな民話や伝説を組み合わせてできたもののようで、仏教や神仙思想の影響を受けているそうだ。素人考えではあるが、この「罪」(「昔の契り(p.47)」とも記されている)は、求婚する貴公子にかぐや姫が要求したエキゾチックな宝物と同様、物語に味付けすべく導入された小道具程度のものではないかと感じられた。記述もあっさりしているし。昔は今みたいに細かいことまで突っ込んで書いたりしないので、あっさり書いてあるからといって重要度が低いともかぎらないだろうけど。

心理描写もごく表面的な記述しかなく、近現代の物語に慣れた目で見ると物足りないぐらいだ。話は飛ぶが、Julian Jaynes という心理学の教授が「神々の沈黙」(紀伊国屋書店)の中で、bicameral mind (二分心)という仮説を提示している。曰く、内観を可能とする主観的な意識は言語より後に発生し、発生以前の人間の精神構造は、右脳に由来する「神の声」とそれに一方的に従う「人間(左脳)」の2つに分かれていたというものである(統合失調症患者が幻覚や幻聴にコントロールされるように)。

ギリシアの叙事詩イーリアスの頃までその二分心の形跡は見られ、登場人物があたかも自分の意思がないかのように神々の思いのままに行動するのはそのせいだという。言語や社会の発達に伴い二分心はなくなり、意識が発生したそうだ。イーリアスの成立は紀元前8世紀といわれ、竹取物語はイーリアスと現代の中間地点よりやや現代寄りである。そう考えると心理描写があっさりしているのも、まあそんなものかという気になってくる。

竹取物語には言葉遊びがたくさんあって楽しい。いまさら気づいたのだが、掛け言葉って要するに駄洒落のことなのね。高校生ぐらいの時に気がつけばよかった。

では本文から駄洒落を一つ。かぐや姫の求めで右大臣安倍氏が持参した火鼠の皮衣が、偽物だと露見したことについて、「安倍」と「敢え」を掛け「と(遂)げなきものをば『あえなし』と言ひける(p.28)」。注釈によると「かぐや姫の家に、あべはいない」という意味も掛かっているとか。

2014年2月14日金曜日

成金は右傾化するのか

人は金を得ると右傾化し、差別的になるという結論の調査があった (「Money makes people right-wing and inegalitarian 」Andrew J Oswald, Nattavudh Powdthavee共著)。宝くじに当たった人を調べると…
In our data set, many hundreds of individuals serendipitously receive significant lottery windfalls. We find that the larger is their lottery win, the greater is that person’s subsequent tendency, after controlling for other influences, to switch their political views from left to right. We also provide evidence that lottery winners are more sympathetic to the belief that ordinary people ‘already get a fair share of society’s wealth’.
http://www.voxeu.org/article/money-makes-people-right-wing-and-inegalitarian

当選金額が高ければ高いほど右傾化の傾向が強まり、社会内部の富の分配について現状を追認する傾向が強くなるという。

これは現状を評価する際に、自分の都合のいいように解釈しようとする心の働きだろうか。物事がうまくいった場合には、自分の努力の結果だと考えがちなのに、逆にうまくいかなかった場合には、自分のせいでなく運が悪かったせいにしてしまう、みたいな。

金持ちと右傾化に相関性が高いとすると、ネット右翼をどういう人たちと考えればいいのか、わからなくなってくるような…