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2014年8月18日月曜日

本日の引用:日本経済新聞 熱風の日本史

「国民には植民地支配に対する罪悪感と、報道による『怖い朝鮮人』というイメージ、復讐されるのではないかという恐怖心があった」2014年5月4日(日)付
同紙の、今となってはとっくの昔に終わってしまった近現代史に関する連載から引用。この回のテーマは、関東大震災直後(1923年)の朝鮮人虐殺。

事件の背景として、1918年(大正7年)の米騒動、翌年に起こった朝鮮初の人民蜂起である三一運動、中国の抗日運動である五四運動、1922年の日本共産党結成などの出来事を挙げ、社会に不穏な空気が流れていたことを挙げている。また、日韓併合後に土地を奪われた朝鮮人農民が国内に大量流入したことや、当時の新聞が「不逞鮮人」などの言葉で、朝鮮人に対する「恐怖心と憎しみ」をあおっていたことを指摘している。

戒厳令発令など治安当局の過剰反応が「民衆の恐怖を増幅させるとともに、朝鮮人襲撃の『口実』と『お墨付き』を与えることに」なり、流言の拡大に拍車がかかった。状況は文字通り凄惨を極め、死者数は正確には不明ながら少なくとも2,600人、中国人の犠牲者も700人を超えたという。

現代の我々はこのようなことはしないと信じたいが、実際はどうなのか。昨今の世論調査では隣国に対するイメージはよくないようだし、大事に至るものはなかったと思うが、東日本大震災直後には多少のデマが流布された。

執筆した井上亮編集委員は、教訓として2人の研究者の言葉を引いている。
・他民族に対する敵愾心や反感をあおる情報には注意する。
・過去の正視を自虐として否定するのは、現在の自分や国家に自信が持てない卑屈な態度である。

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