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2015年12月6日日曜日

本日の引用:毎日新聞12月4日朝刊

「わが国南部は伝統的なイスラム社会で、過激派はここに根を下ろせなかった。伝統的な共同体には人のつながりがあり、人々はイスラムを政治化することに強い違和感がある。過激派が生まれるのは匿名社会の都会であり、疎外の問題と密接にからんでいる」p.3

客員編集委員の西川恵氏による「金言」というコラムから。アルジェリアのエルハバルという新聞社のアリ・ジェリ社長にインタビューした際に得られたコメントだそうだ。

確かに都市生活は思想や宗教の過激化と親和性が高そうな気がする。ただイスラム圏とその他の地域では過激化の度合いが大きく異なるようにも思える。このテーマは今後も考えていきたい。

2015年5月9日土曜日

「日本の歴史家を支持する声明」を支持します

国内外の日本研究者や歴史学者ら187人が5日に発表した「日本の歴史家を支持する声明」を支持します。

この声明は「敗北を抱きしめて」のジョン・ダワー米マサチューセッツ工科大名誉教授など、世界的に有名な学者が名を連ねたもので、米歴史協会の会報3月号に掲載された20人の学者による似たようなタイトルの声明とは異なり、バランスのとれた見解と建設的な提言を示している。以下、一部を引用する。

「今年は、日本政府が言葉と行動において、過去の植民地支配と戦時における侵略の問題に立ち向かい、その指導力を見せる絶好の機会です」
「『慰安婦』問題の中核には女性の権利と尊厳があり、その解決は日本、東アジア、そして世界における男女同権に向けた歴史的な一歩となることでしょう」

安倍首相のような思想信条の人が謝罪を明確にすれば、非常に効果的ではないだろうか。近隣諸国との歴史問題の解決に向けた大きな前進が期待できる。

参考記事
http://www.asahi.com/articles/ASH5723NQH57UHBI00D.html
日本語全文
http://www.asahi.com/articles/ASH575KGGH57UHBI01Y.html
英語全文
https://networks.h-net.org/system/files/contributed-files/japan-scholars-statement-2015.5.4-eng_0.pdf

米歴史協会の会報に掲載された声明
http://www.historians.org/publications-and-directories/perspectives-on-history/march-2015/letter-to-the-editor-japan
こちらの声明は、日本政府が米教科書出版社に対して慰安婦に関する記述を訂正するよう要求したことに反発して発表された。そのためか、客観性に欠けた記述に肩入れしたり、「右翼」などレッテル張りに利用される言葉を使用したり、とても学者が書いたとは思えないほど不用意な文章となっている。この20人の大半が「日本の歴史家を支持する声明」にも名を連ねているが、この人たちは一体何を考えているのか理解に苦しむ。

2015年2月14日土曜日

本日の引用:日本経済新聞 大竹文雄・阪大教授インタビュー

「運動会の徒競争で順位を付けないといった競争を否定する教育を受けた人ほど互いに助け合わない」2014年12月27日付夕刊p.5

昔の記事だが、備忘のため引用。人間の能力は皆同じで、違いは努力の差に起因するため、困っている人がいても助けなくていいという考え方になるそうだ。

「『日本の幸福度』調査では、他の人の生活水準を意識する人ほど不幸だ、というデータが出ています。日本人はかなり上の人と比べてしまう。向上心は高まるかもしれないが、幸福感は下がる。米国人は同じか、もっと下を見るのでハッピーになりやすい」同ページ

以下に大竹氏の代表的な著作を挙げておく。そのうち読むつもり。

「日本の不平等-格差社会の幻想と未来」日本経済新聞社
http://www.nikkeibook.com/book_detail/13295/
「競争と公平感 市場経済の本当のメリット」中公新書
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2010/03/102045.html
「日本の幸福度 格差・労働・家族」編著 日本評論社
http://www.nippyo.co.jp/book/5362.html

2015年2月7日土曜日

本日の引用:朝日新聞 若田部昌澄・早大教授インタビュー

「政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる」電子版2015年2月5日09時17分
http://www.asahi.com/articles/ASH1V5GGDH1VULFA024.html

「国のバランスシートから落とせる」から何なんだろうか。そんなに簡単なことなら今すぐにやればいい。あるいは日銀引き受けが大量にあった大戦末期にでもやればよかったじゃないか。

日銀でこれほど大量の資産が毀損されることになると、バランスシートの反対側の負債も急激に減らないといけないことになる。日銀の負債の代表は銀行券と民間金融機関の当座預金である。一体どう帳尻をつけようというのか?
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2015/ac150131.htm/

同じ大学の原田泰教授も似たような珍説を出している。なお同氏は日銀の金融政策を決める審議委員に就任の方向だ。
「国債買い入れの増額について『国民の借金を日銀が減らすことだ。誰も困らず公平である』とした」ロイター 2015年1月13日 15:31
http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0KM0FA20150113?sp=true

「日銀は国債をコストをかけずにただで買っている。10兆円分の国債を購入して、仮に2割損してももうけは8兆円ある。日銀の利益は国庫に渡ってきた。国債の価格が下がっても、財務省が埋めればそれでいいだけだ」朝日新聞電子版2015年1月21日11時34分
http://www.asahi.com/articles/ASGDS5TCMGDSULFA034.html

リフレ派とかマネタリストって一体…(以下自粛)

日銀の総裁と副総裁が現在の顔触れとなったのが2013年3月。異次元緩和は翌月に導入された。2年程度で2%のインフレを起こすという当時からの約束を果たすことは、ほぼ不可能だ。

数カ月でデフレ脱却を実現できると豪語した米エール大学名誉教授の浜田宏一氏や、「当座預金残高が10%増えると、予想インフレ率は0.44ポイント上がる」との試算を就任前に公表していた岩田規久男副総裁には、見通し通りにならなかった理由を説明し、自身が拠って立つ理論を抜本的に見直す必要があるのではないか。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJ7MB6JTSFI01.html
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL040PK_U3A300C1000000/

2人とも白川方明前総裁や当時の日銀を強い言葉で批判していたのだから、ぜひともきちんとやってもらいたい。

*2月7日追記:当座預金は、日銀の政策目標であるマネタリーベースの主要項目で、2013年は108.8%、翌14年は89.9%増えた。予想インフレ率は計測が難しいようだが、主要指標の一つとして岩田氏が講演等で言及してきたブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、試算とはほど遠い動きになっている。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/base1501.pdf
http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata05.html