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2013年7月2日火曜日

トレンド日米表現辞典第4版の研究1

いささか旧聞になるが、2007年に小学館が「トレンド日米表現辞典第4版」を出版した。現代日本に関する文章を英語で書く際に大変重宝していた辞典の新しい版なので、出たらすぐに買った。予告広告を見て、発売を心待ちにした日々を思い出す。

この版から編集主幹という肩書の人が加わり、執筆者が一人減った。内容がどう変わったのかと最初の数十ページをぱらぱら見ると、あからさまな間違いやおかしな記述が散見された。金を返せと言うつもりはないが、悔しいので主な間違いを列挙していくシリーズを始めようと思う。対象は手元にある第4版第1刷。こないだ某大手書店チェーンの店で見たら、まだ第1刷が置いてあったぞ。

P.178 国民総所得、GNP
「GDPに海外生産を加えたもの。この指標は戦後50年近く使われてきたが、2000年度にGDPを使っている国際標準に合わないとの理由でGDPに代わり、GNPもGNI(Gross National Income=国民総所得)に呼び方を変えた」

「海外生産」は大まかすぎるので最初の文もどうかと思うが、「加えた」を「加味した」と読みかえればそれほど問題はなさそうなので、スキップ。

次の文。経済企画庁(現・内閣府)がGDPをGNPに代わる代表指標としたのは93年で「2000年度に…代わり」というのは間違い。2000年10月の統計見直しの際にGNPという概念が廃止されたのは事実だが、その頃にはとっくにGDPが経済成長を測る主要指標として定着していた。新聞を読んでいないのだろうか?以下は94年の経済白書の抜粋。前年の経済を回顧する際にGDPを用いている。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/keizaiwp/wp-je94/wp-je94-00101.html

P.179 GNPギャップ
本書出版のずいぶん前にGNPがGDPに取って代わられたと説明した直後に、このような項目を立てる意味が分からない。GDPギャップでよい。小学館、きちんと校閲を入れているのだろうか。

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